ニュース News

知床登山をテーマにした唯一の著書「知床半島の山と沢」    
〜秘境知床ーその道なき道を行く!〜
地図にない滝と出会い、ハイマツの海を泳ぐ 未知への不安と期待を胸に歩いた貴重な記録

伊藤正博「知床半島の山と沢」(共同文化社)
 

 世界自然遺産・知床がブームである。知床に関する本も多数出版されているが、「知床の登山」をテーマとしたものはこれ一冊のみ。類書は過去にもなかったから、本書は大変貴重な存在といえる。
 網走山岳会会員の著者にとって知床は「地元の山」だ。半島一帯の尾根・沢・海岸を舞台として、1993年〜2004年の春夏秋冬になされた約60山行の記録がここに集約されている。山別・ルート別にまとめられ、全ルートを地形図上に示し、多数の写真も添えられて、読みごたえ・見ごたえは十二分にある。山別になっているため、一山行が2箇所以上に分割された場合もあるが、それは読者が読み取ってほしい。ヒグマとのスリリングな対峙シーンが数箇所あるのは、まさに知床ならでは!
 羅臼側・斜里側両面の海岸ルートは、これまで詳述されたという記憶がない。海岸といっても道は皆無の上、岸壁のヘツリや高巻き、ザイル登降など登山技術を駆使する部分がたっぷりあり、山には無関係な潮の満干に関する知識を要求されるあたりが面白い。
 極力感情を抑えて記述を進める著者であるが、最後の岬到達の場面に至って遂に感動をあらわにする。到達困難な知床半島の先端部には、他にはない原始の魅力と興奮が満ちているのだ。明日の知床がどう変わるのか、著者らの登山はそれと共にいかに発展・変化するのか。これからも目が離せないところである。(評:安田 成男)

 伊藤氏は1990年に網走山岳会に入会し、道内の山を登るうちに知床半島の山の魅力に引かれ、半島の稜線を歩いて知床岬までつないでみたいと思うようになった。いろいろな山の本を読むうち、知床半島を網羅した記録の本が一冊もないことを知り、それなら自分で実際に歩いて本を作ろうと思い立った。
 この本にはクマとの遭遇や、地図にはない滝を遡り、人跡未踏の沢や湖、知床には珍しい花との出会いなどが書かれている。また、知床岬まで羅臼側、斜里側の両方の海岸を歩いたり泳いだりしながら到達した、冒険的な記録も載せている。この本を読むと山登りや沢登りをしたことがない人でも、秘境知床半島を奥深く類似体験した気分になる。(網走読売ニュース)

Copyright © 2005 Okhotsk-Ken Kankou Renmei All rights Reserved.