中国で空前のヒット『非誠勿擾』(フェイチェン・ウーラオ)のあらすじ
ー邦題「狙った恋の落とし方ー
『非誠勿擾』

脚本・監督
馮 小剛(フォン・シャオガン)
「女帝」「イノセントワールド天下無賊」等々のエンターテイメント作品を多く手がけ、中国国内で観客動員数の記録を持っている監督。本作品は中国国内から日本の北海道を舞台にし、スケールの大きな自然を背景に物語が展開するロードムービー。2009年正月映画として香港・中国本土で上映。日本国内でも後日公開予定。

主 演
チン:葛 優(グオ・ヨウ)   
中国のトップ俳優で「さらばわが愛」「イノセントワールド天下無賊」「女帝」などの名作に出演。馮小剛監督との作品も数多い。

シャオシャオ:舒 淇(スー・チー)
台湾を代表する女優で「胸封印」「水滸伝」でベルリン映画祭出品作に出演歴がある。デビュー間もない頃、ジャッキー・チェンやトニー・レオン出演の映画『ゴージャス』にヒロインとして出演し、徐々に人気を博した。

【あらすじ】
 中国では昨今、海外留学がはやりで主人公秦奮(チン・フェン、以下「チン」と略称)も帰国組のひとり。

  チンは、十数年アメリカで旅行ガイド、保険や墓地のセールス、生活コンサルティング業をして何となく月日が過ぎていたが、一人暮らしをする老母のことが心配になり帰国した。四十過ぎの今まで独身を通してきたチンだが、北京に帰ったのを潮時にそろそろ身を固めようと“結婚相手募集”の広告を出してみる。
−「ハンサムでリッチな男を求めるなら応募は無駄。高学歴、上海女、企業家もお断り。こちらの希望としては、外見はトレンディー系、内面はコンサバ系、心身共に健やかで、若干しとやかなタイプならなお良い。あまり気を回しすぎる性格は困りもの。当方の性格はオープンで、気が小さいので大悪人にはなれず、社会的には有益無害。興味のある方は連絡を。『冷やかし お断り』」−
 
  そんな広告に応募してきた最初の“花嫁候補”は、チンのかつての同僚でチンに密かに想いを寄せていたというゲイだった。<場所:北京のモダンアートスポット798カフェ>

 次の相手が指定してきた場所に行ってみると、親孝行のために墓地を買ったほうがいいとチンに強く勧めるトレンディーな美人。古風な一面もあり理想のタイプと思ったのもつかの間。彼女は墓地販売のセールスレディだった。<場所:北京郊外観光地・明の十三陵>
 
  次々にお見合相手がみつかり指定してくる。
  次の場所である古めかしい迷宮のようなカフェで待っていたのは、目の醒めるような美人スチュワーデスの梁笑笑(リャン・シャオシャオ、以下「シャオシャオ」)であった。妻子ある男との不倫関係に悩んでいるシャオシャオは、気晴らしのつもりでチンとの見合いに応じてきたのだった。<場所:後海(ホウハイ)湖畔のブックカフェバーで由緒ある屋敷を改造し人気>
 
  チンは失望しながらもシャオシャオを邪険にはできず彼女の悩みを聞いてやりながら、チンもまた秘められた過去の苦しみを告白する。
  チンが虚弱体質なのが気に入り、夜の夫婦生活は一年に一回が望ましいと力説し同意してくれるなら縁談を進めようと申し出る中年未亡人やら、年齢からいえばチンの子供でもおかしくない隣国のお姫様。
その後もチンは数人の女性と見合いを重ねたが、どれもピンとくる相手はいなかった。
 
  チンは杭州出身の母親のために住宅の物件見学をしようと思い立ち、ついでに見合いもしてこようと杭州に出向く。杭州行きの飛行機のビジネスクラスに乗り込むと思いがけずシャオシャオが乗務するフライトで、しかも偶然シャオシャオの不倫相手も妻同伴で乗っていた。感情の火花が散るフライトで、シャオシャオはすっかり気分が落ち込み杭州で休暇を取る。

  杭州で見合いをするチンをそばの席で眺めるシャオシャオ。
 相手は金持ちの実業家を父に持つ台湾人の女性で、チンが子供好きと知りぜひ結婚してほしいと言う。実は彼女は未婚だったがお腹に子を宿しておりその父親になって欲しいと言うのだ。あっさり断るチンだった。<場所:杭州西湖の湖畔茶館>
 
  シャオシャオは自分の恋人に一緒に会ってほしいとチンに頼む。夜の西湖に浮かべた風雅な船で三人は顔を合わせるが、なんとも気まずい雰囲気。シャオシャオと恋人の愛のもつれをどうすることもできないチンは二人を残して船を下りる。妻との結婚を清算できない男に失望したシャオシャオ。

  一方懲りないチンはまたも見合いをする。証券会社でディーラーをしている女性は、結婚相手を探すのは株の取引と同じだと主張し、チンは“下げ幅の大きい”不良証券だと言われ失敗。<場所:北京ファッションビルの国易バー>

  そこへシャオシャオが登場しチンに結婚を前提にした付き合いをしたいと言う。ただし、「結婚しても、心は愛する男のところへ行くのを許してほしい」という条件つきで。そして、心の整理をつけるために彼女の恋愛が始まった北海道へ一緒に行ってほしいとチンに申し出る。

  ところ変わって北海道・・・
 二人を北浜駅で出迎えたのは、チンの長年来の友人ウーサンである。ウーサンは上海人だが日本人と結婚し東京で暮らしている。冗談好きで裏表のない豪快な性格のウーサンが運転するレンタカーで、チンにとっては初めてのそしてシャオシャオには二度目の北海道の旅が始まった。

  初秋の北海道をドライブしながら、ときおり恋人との思い出に引き戻されていくシャオシャオ。ある街で道路沿いの寺院(厚岸町国泰寺)に目を留めたチンはどうしても参拝したいと言い出したが、寺では有力者の葬儀の真っ最中。ウーサンの交渉で参列させてもらうことになったが、なにやら厳重な警戒がしかれ黒サングラスに強面の男たちの間でまるで身内のように祭壇の前で手を合わせる三人。しだいに足がしびれてきて立てなくなったチンの話題で車中は大笑い。

  三人は観光名所を巡り阿寒温泉郷へ到着。
 居酒屋ではウーサンが勧めるウニやわさびを初めて食べるチン。酒を飲んだ勢いもありチンはシャオシャオに冗談の意地悪を言い怒らせてしまう。
一人宿に帰ったシャオシャオは湖の見える部屋で恋人との記憶に苦しめられながらもチンの優しさを思い返していた。

 チンとウーサンはシャオシャオを旅館に残し、店の看板にディスプレーされた和風の美人四姉妹の写真に引かれ『居酒屋四姉妹』へ入っていく。ところがそれは四十年も前の写真で、和服現れた姉妹はすでに七十歳を超えていた。二人はがっくりしながらも店の常連客と一緒に酒を飲みカラオケで歌いまくり酔いつぶれ、ついにはシャオシャオが二人を迎えに来た。
 
  翌日のドライブの途中、チンはとある教会(斜里教会で懺悔をすることになった。中には神父がいて幼稚園時代からの悪事を話始めたが、夕方まで延々と半生の懺悔は続き、さすがの神父も居眠りをするほど。外で待つ間、ウーサンはシャオシャオに「チンは本気で君に惚れている。誠実に考えてほしい。」と言う。
  とうとう神父は外で待つシャオシャオとウーサンに「あなた方のお友達はとても信仰深いけれど、あれほどたくさんの懺悔はここでは納まりきれません・・・」と言って連れて帰るようお願いされた。抱えられるチン。

  山の奥深い温泉で足を浸からせていると、日本人の登山客が山を降りてきた。ウーサンが「この辺りは熊がでますか?」と聞くと登山客は顔を見合わせてうなづき「行きは4人いたが帰りは二人になってしまった・・・。」とおしえた。青ざめるチンに日本人もウーサンもシャオシャオも大笑い。
国立公園の休憩所(知床野営地)では、観光客向けに熊に遭遇したときのサバイバル訓練を行なっており、三人も参加。着ぐるみのクマがシャオシャオに近づき話しかけてきた。中に入ってるのはチンで自分の気持ちをシャオシャオに打ち明けたのだった。

  オホーツク海を見下ろす能取岬の崖の上、夕暮れの風を受けながら並んで柵に腰掛けるチンとシャオシャオ。「今夜わたしはあなたのものよ。」と言うシャオシャオに「今夜だけならいらない。君を愛してるから大事にしたいんだ」と答えるチン。シャオシャオに熱い想いがこみ上げる。

  明け方シャオシャオはチンに置き手紙をしていなくなった。
−「偽りのないあなたの心と汚れのない北海道の景色が人生の喜びを取り戻させてくれることを願っていた。でも過去の愛にボロボロになったわたしは、もがけばもがくほど思い出に引きちぎられる。・・・・・もっと早くあなたに出会えたらよかった。・・・・・探さないで下さい。」−

  ウーサンと必死の捜索の末、シャオシャオの行方が判明した。
 能取岬には警察の車。
 置き手紙をしたあとシャオシャオは岬の崖の上から飛び降りたのだった。
  幸い命はとりとめたものの車椅子の生活を余儀なくされたシャオシャオと結婚することを、チンはウーサンに告げ病院(斜里国保病院)の中に。
  帰路につくウーサンは、親友の固い誓いと彼らの行く末に複雑な思いで雄大な景観を前に涙を流した。
 
  一方中国へ帰るチンとシャオシャオ。
 船内を散歩しながらシャオシャオは元の恋人へ最後の言葉を留守電に残し、自分の想いとともに携帯電話を放り投げるのだった。

(完)