農林業について

世界に誇る美しい農業景観

地図のどこを探しても、北海道にオホーツクという地名はありません。でも網走・北見・紋別を中心とするオホーツク総合振興局管内18市町村の人々は、自分達が生活している大地を、誇りを込めてオホーツクと呼んでいます。

この地域の誇るべき魅力のひとつに、日本のヨーロッパと称される“美しい農業景観”があります。

このページは観光名所めぐりだけでなく、ゆったりと癒される旅を望む人のためのガイドコーナーです。

オホーツクの本当の魅力は農業景観にあります。 オホーツク ならではの農業、そして大地の特色を知ることで、ますますオホーツクを好きになっていただきたいと願っています。

 

網走ニューカントリー21研究会「オホーツク大地を歩く」より

農村景観を読む

どんな地形でどんな作物がつくられるか、それによって農村景観は異なってくる。さらにいうと、どんな作物が生育するかは気候に左右され、その土地の歴史にも影響される。つまり農村景観はその地域の気候、風土、歴史などを映し出す鏡といってよいだろう。 府県でよく見かける農村風景は、穂波が揺れるなか屋敷林に囲まれた家屋が山や林に守られ静かな情緒をただよわせる、といった繊細で閉鎖系のものが多い。ところが、北海道の農村風景はスケールが大きく開放的。1枚の畑の広がりに“異国”を感じることもしばしばである。これはひとえに明治の開拓時代に300間(540m)方眼という広大な区画を1単位に開墾が始まったことによる。

そんな北海道にあって、オホーツク地方は最もヨーロッパ的な農村景観を呈しているといわれる。気象条件が似ているためである。冷温帯のオホーツク海型気候に属しながら、対馬海流とオホーツク海流の影響をうけて比較的温和。

農耕期間は道東特有の濃霧に覆われることもなく、温暖・多照・少雨で、麦類にうってつけの土地である。

また昼は暑く夜涼しい夏の気候は、ジャガイモ、トウモロコシ、カボチャ、タマネギにうまみをもたらす秘密でもある。

オホーツク地方はその営農形態や立地条件から4つに分けることができる。東から斜里・網走、北見、東紋別、西紋別の各エリアである。

斜里・網走エリアは、オホーツク地方のなかでも特に降雨量が少なく、しかも火山灰地であるため、春の季節風で畑の土やビートの苗が飛ばされる被害を受けやすい。そのため、防風林が他の地域に比べ、より発達しているのが景観上の特徴だ。防風林に囲まれた広大な畑で、ビート、ジャガイモ、麦類の輪作が行われている。

北見エリアは、気候、土壌ともに恵まれ、タマネギ、ナガイモ などの野菜類をはじめ、豆類、ビート、水稲など、多彩な農作物が作付けされている。実りの秋には変化に富んだ収穫風景が楽しめる。

東紋別エリアは、牧草地がひろびろと広がり、そのなかに畑があたかも紛れ込んだかのように散在している。

牛がのんびり草をはむ酪農地帯ならではの景観と、カボチャ、アスパラガスなどの畑作風景がモザイクのように組み合わされているエリアだ。 西紋別エリアは、水はけの悪い重粘土が広く分布し、冷涼な気候のため大規模な草地酪農が展開されている。起伏のある牧草地にアクセントをなす赤屋根のサイロと日陰をつくる木々たち。“異国”を最も強く感じさせる景観が広がる一帯である。こうした景観に加え、さらにオホーツク海や湖沼、山並み、森林などが背景としてからんでくる。画一化されつつある都市の景観とは対照的に、農村景観は実に多彩。注意深く農村ウォッチングをすれば、オホーツクについて深く知ることができる。


春・・・豊穣の祈り

オホーツクの海から流氷が去り、沖合いに流氷の蜃気楼「幻氷」があらわれるころ、この北国に春は一挙にやってくる。

日本最大といわれる網走湖畔(網走・大空町女満別)の 水芭蕉群落では4月下旬から大きな白い花が一面に咲き乱れ、上湧別のチューリップ公園では120種120万本ものチューリップが色を競う。同じころ東藻琴や津別、滝上などでは芝ザクラがあたりをピンク一色に染め、エゾムラサキツツジ、ウメ、サクラもまた一斉に花開く。 一方雪の消えた農地では栄農作業が始まる。その下層にまだ土壌凍結が見られる黒い畑地からは陽炎がゆらゆら立ち昇り、トラクターで耕起された大地にはジャガイモやビートなどが植えられていく。半年前に蒔かれた秋小麦の緑を除けば、あたりは土の色が圧倒的。整然と並行に走る蒔き筋の緑はまだ色も薄く心細げだ。

遠くに目をやると、山の頂付近には雪が残り、花をつけた防風林のカラマツも、雌花の淡紅色のためか、くすんで見える。

農地で働く人たちの表情も希望に満ちている。期待と若干の不安のなか、豊穣の祈りを込めて春の農作業が黙々と進められている。

秋・・・実りの祝宴

花の季節が終わり、能取湖畔のサンゴ草が真っ赤に色づく9月、実りの大地は収穫の喜びにあふれる。ジャガイモ畑では、大人たちに交じって子供たちが籠を手にイモ拾いに精を出している。笑顔がこぼれ、会話もはずむ。大人たちの表情にも満足感がただよっている。春先に見せた、あの不安の入り交じった表情など、もうここにはない。いまは、半年間の丹精の成果を素直に喜び、かみしめるときなのだ。

さまざまな作物の取り入れ風景のなかで、とりわけ目をひくのが豆畑のニオ積み。刈り取った豆を茎葉のまま積みあげ、青いビニールシートをかぶせる。その青い“帽子”が丸坊主となった畑に点々と並び、ついにはスカイラインで秋空にとけこむ様はクリストのアースワークを思わせる。ソバ、水稲、ビートなどの穫り入れも終わると、彩り豊だった大地はすっかり晩秋の気配である。

そんな中、春小麦の収穫後の畑に蒔かれたキカラシが黄色い花をつけるのが印象的だ。 まるで菜の花が咲いたかのようで、一瞬、季節が逆戻りした錯覚にとらわれる。実はこのキカラシ、緑肥としてこのまま畑にすきこまれるのである。つまり、作物を育んだ土が、今度は作物によって育まれる、というわけである。土もまた生きているのだ。

「育み、育まれる」・・・そんな関係が、ここでは“いのち”あるものすべての間で絶えることなく繰り返されている。その積み重ねが、いまある農村景観の“土壌”になっているのだろう。

 

夏・・・“いのち”の息吹

海岸に鎖のように連なる原生花園では、6月から8月にかけ次々と花が咲く。青い空、海、湖、あるいは知床の山々を背景に、ハマナスの赤紫、エゾスカシユリのオレンジ、ヒオウギアヤメの紫、エゾキスゲのレモンイエローなどの競演が繰り広げられる。農地でも、作物たちがその成育とともに緑の濃さを増し、土を徐々に覆い隠していく。

この遅々とした変化を目にするとき、確かにここでは “いのち”が育まれているのだという実感がわいてくる。単なる消費物を作っているのではない。ましてや作物を“生産”しているのでもない。ここでは紛れもなく“いのち”が育まれているのだ。その“いのち”を食べることによって、私たちの“いのち”もまた育まれる。それにしても思わず目をひかれるのは緑の多彩な表情である。同じ緑でもビートのは飛び抜けて濃く、小麦は黄緑がかっている。その中間をいくのがジャガイモの緑。 

輪作地帯ではこの微妙なグラデーションがどこまでも続いている。こんな景観を飽かず眺めていると、ふと、効率主義が幅をきかせ、機能性が追及される都市空間とは全く違う、おおらかでゆったりした時間がここを流れていることに気づく。それはたぶん作物の生長、自然のリズムを映しているのだろう。太陽が照りつけ、気温も上昇カーブをえがく7月。作物たちは太陽の恵みを受けのびのびと成長する。オホーツク地方の農村景観が最も鮮やかに色づく季節である。緑のうねりの中に白や紫のじゅうたんが現れる。近づいてみると星型のかれんな花が揺れている。ジャガイモの花である。午後にはしぼみかけてしまうから、朝露に濡れているうちが美しい。

かたや小麦畑では、真夏の太陽で日焼けしたかのような黄金色の行列が見渡す限り続く。はや麦秋を迎えたのである。炎暑の中、刈り入れのコンバインがうなりをあげて進んでいく。白、紫、黄金色、そしてビートなどの緑の大地。それらが織り成すカラフルで独創的な模様は、さながら自然という母がつくりあげたパッチワークキルトである。

冬・・・静かなる序奏

防風林のカラマツが色づき、山々が紅葉し、10月下旬、平地にも初雪が来る。降っては消えを幾度か繰り返して、やがて大地は真っ白になる。流氷が オホーツク海に現れるのは1月中旬。

この流氷の下面で増殖する氷藻プランクトンが、オホーツク海を世界3大漁場にしているといわれる。流氷があるにもかかわらずではなく、流氷があるからこそ、オホーツクの海は豊かなのだ。

同じことが農地にもいえるかもしれない 。半年間働いてくれた農地に白い雪の下でゆっくりと休んでもらう。

これこそが豊穣の秋への確かな一歩なのだろう。海も大地も、もの皆白く覆われるオホーツクの冬。

しかし、それは生命賛歌、自然賛歌の静かなる序奏なのである。


主な酪農産物

  • アスパラ
  • ビート
  • 酪農品(牛乳・バター・チーズ)
  • じゃがいも
  • かぼちゃ
  • 白花豆
  • 長芋
  • タマネギ
  • とうもろこし

オホーツクの森林

ここではオホーツクの森林を紹介しよう。

オホーツク圏(オホーツク総合振興局管内)の森林面積は、77万haで土地総面積の72%を占める。これは全道森林面積の14%にあたり、振興局単位では全道二位を誇る。しかもその森林はどこよりも美しく、優しく、そして厳しくもある。

オホーツクの森の魅力は、知床に代表されるような原始の姿がそのまま残っていることだろう。管内森林面積の57.4%は天然林なのだ。加えて周りを阿寒、知床の2つの国立公園、天塩岳、斜里岳の2つの道立自然公園と網走国定公園に囲まれていることからわかるとおり、自然景観の美しさは折り紙つきのエリアである。数多くの湖沼、峠、滝や川のほとんどが深い森に囲まれている。加えて、四季がどこよりもはっきりしていることから、同じ森でも季節や時間帯、その日の天候によっても変化し、何百という顔を持っていることも大きな魅力だ。

 

近年健康ウォーキングとは別に、森をゆったりと歩く「森林ウォーク」が脚光を浴びつつあるが、森林浴、森林セラピー、植物観察、バードウォッチング、環境学習、トレッキングなど健康、教育、観光、レジャーの要素を兼ね備えているからだ。

オホーツクでは、ほとんどの地域に森の散策道路が設けられている。原始の森、花で覆われた森、商業集積地に隣接した森、北海道開拓時代そのままの森など、オホーツクはまさに「森林ウォーク」のメッカなのだ。

 

オホーツクの森林の総蓄積は、11万5000㎡で全道森林蓄積の17%を占め、北海道内の主要な木材生産地でもある。

このような背景から管内では、木工芸も盛んでオケクラフト(置戸町)のようなブランドも生まれている。また、地元の木工芸品を紹介・展示・販売する施設も多く、これらを結ぶルートは「オホーツククラフト街道」として紹介されている。

 

 

オホーツククラフト街道

  • 木夢(こむ)   /西興部村
  • 木楽館(もくらくかん) /遠軽町
  • 木芸館(もくげいかん) /遠軽町丸瀬布
  • ちゃちゃワールド    /遠軽町生田原
  • 果夢林(かむりん)の館 /北見市留辺蘂
  • オケクラフトセンター /置戸町
  • オホーツク木のプラザ /北見市
  • 美幌林業館    /美幌町
  • つべつ木材工芸館 /津別町

 

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