北海道はまぎれもなく日本一の水産王国だ。
わが国は周りを海に囲まれ、魚を食べる民族ということもあり昔から漁業が盛んな国であるが、その中でも北海道の漁業は突出している。その水揚げにおいては常に全国の約4分の1を占め、魚種も多くほとんどが全国一のシェアを誇っている。さらに日本海、太平洋、オホーツク海の3つの海に接していることも特色のひとつで、それぞれの海が持つ性質により同じ種類の魚でも漁期等が若干異なっている。特にオホーツク海は1月中旬から2月いっぱい流氷に覆われることから、漁ができないというハンデがあるが、それゆえの優れた特色を数多く持つ、世界でも希な“不思議の海”だ。
オホーツク圏の水産業は、オホーツク海沿岸を漁場とするホタテ貝桁網漁業、さけ定置網漁業並びに沖合海域を漁場とする沖合い底引き網漁業を中心に営まれ、生産量ではホタテ、スケトウダラ、サケの順であるが、特にホタテは生産量・生産額ともに全道の4割強を占める日本一のホタテ産地だ。他にも、キンキ、カニ、クジラ、ホッカイシマエビなどは、いずれもオホーツクを代表する人気水産物となっている。
オホーツクの水産資源の豊富さは、なにもオホーツク海だけではない。オホーツク圏は、サロマ湖や能取湖、網走湖などの湖沼が多く、内水面漁業が盛んなことも特色のひとつ。湖沼では特に網走湖のシジミ、ワカサギ、シラウオは北海道一の漁獲を誇り、中でもシラウオは道内漁獲量の98%を占める貴重な存在である。
上記の資料は農林水産省のホームページより参照。
農林水産省の公表資料は、農林水産省ホームページの統計情報をご覧ください。
グラフや図でみる北海道の農業・漁業は
「北海道農業の概要」、「センサスからみた北海道農業」及び「グラフでみる北海道の漁業」は、各種統計データのグラフなどを用いて、北海道における農業や漁業の現状を分かりやすく説明したものです。
北海道農政事務所 統計部統計企画課 https://www.maff.go.jp/hokkaido/toukei/kikaku/
オホーツク海は、世界でもっとも“不思議な海”といわれている。
その1つは、地球上で流氷が流れ着く最南端であること。2つめは、世界3大漁場といわれるほど、水産資源が豊かな海であること。3つめは、地球の氷河期の環境をいまに伝える海であることなどだ。
オホーツク海は閉じられた海だ。周りをシベリア大陸、カムチャッカ半島、千島列島、北海道に囲まれている。そこにロシアの大河・アムール川から大量の真水が流れ込み、その真水がオホーツク海の表面にフタをしてしまう。そのため表層50~60mは非常に塩分の薄い水で、下の方に濃い水がある独特の2重構造となっている。海水の対流は塩分の薄い表層部分で行われるため、たった50~60mの浅い海ともいえる。これが海が凍りやすいメカニズムだ。
流氷はシベリアから1000kmの旅の果てに北海道オホーツク地方に流れ着く。その間、流氷にはアイスアルジーというプランクトンの餌になる苔がつき、そのプランクトンが小魚を、そして小魚が大型魚類を連れてくるといわれている。また、流氷が一定期間、海をふさいでしまうため、獲り過ぎによる資源の枯渇を防ぐことも大きい。
オホーツク海の水深50mくらいのところは、夏でも水温が0度近い。このように冷たい海は氷河期の名残りといわれ、流氷の状況を研究することで地球温暖化の進行状況がわかるといわれ、世界中の地球環境学者等から注目されている。まさに、オホーツク海は「地球環境のセンサー」といわれるゆえんだ。